日本共産党の回答文

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律改正に関する公開質問状への回答
2008年12月10日  日本共産党 政策委員会
児童ポルノ法改定案についての公開質問状をいただきました。以下に、日本共産党の見解を回答いたします。ゴシック部分が回答になります。
(*注)回答部分のみを掲載しています。
1−1:
 児童ポルノ法附則第2条によれば、「この法律の施行後三年を目途として……検討が加えられ……必要な措置が講ぜられるものとする」とあります。これは、2004年の法改正後の施行を起点としていますから、「施行後三年」は、2007年にあたると承知しています。
1−2:
 児童ポルノ法の制定趣旨は、被害に遭う子どもをただの1人も生みださないことであり、万一、子どもが性的被害に遭った場合には、万全をつくして被害者の保護・救済をすすめ、尊厳を維持するところにあると考えます。そうした立場から、児童ポルノ法を、性風俗を取り締まるようなものに改定することには賛成できません。
1−3:
 被害者など個人のプライバシーの保護には万全の注意と配慮がもとめられますが、被害の現状、被害者の実態の全体状況について、行政当局からいっさい明らかにされていないことは大きな問題だと考えます。このことは、裏を返せば、被害者の救済や保護が、被害の実態に即してきちんとおこなわれていないということになります。児童ポルノの問題がこれだけ社会的に議論されているだけに、まず、早急に所管官庁を明確にし、そこで被害の実態を正確に把握し、被害者の救済状況の報告、点検がおこなわれる必要があると考えます。
1−4:
 社会的道義的な問題とは別にして、創作物にたいして一律に法的な表現規制をかけることには慎重でなければなりません。また、もしかりに規制をかけるような場合でも、十分、科学的・学術的な知見・根拠をふまえたものにすべきだと考えます。
1−5:
 現在インターネット上に流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法によって取り締まることが可能です。
 児童ポルノ法第7条では、「児童ポルノを提供し」、それを目的として「製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸入した者」にたいして、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」がかけられることになっています。
 これを厳格に運用するなら、ネット上に流れているほぼすべての児童ポルノを一掃することが可能となります。
 一方、児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、漫画・アニメーションなどの創作物も規制対象にくわえたりすることは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないだけでなく、逆に、人権の侵害や表現の自由の萎縮につながりかねません。
 第1に、たとえ単純所持を法律で一律に規制したとしても、児童ポルノの流出の効果的な歯止めにならないことは、単純所持を禁止しているはずの欧米各国の実態からも明りょうです。
 よく、「主要8カ国のなかで児童ポルノの単純所持を規制していないのは、日本とロシアだけだ」と指摘されます。しかし、現にインターネット上に流出している児童ポルノ(児童虐待)の動画像は、単純所持を禁止している欧米諸国からのものが圧倒的に多数です。
 たとえば、イタリアに本拠をおく児童保護団体の「虹の電話」による調査(2007年)では、児童ポルノの国別サイトの順位では日本が7番目の457件となっています。
 一方、日本より上位の6カ国は、ドイツ、オランダ、アメリカ、ロシア、キプロス、カナダとなっており、このうち、上位3カ国のドイツ、オランダ、アメリカだけで、全児童ポルノサイト(3万9418件)のうち、実に約85%の3万3303件を占めます。
 これら3国は、いずれも児童ポルノの単純所持を禁止している国です。このことをとっても単純所持の禁止や規制が、児童ポルノ流出の歯止めにならないことは明らかです。
 第2に、ネット上に流出していないにもかかわらず、単純所持を規制し、それを処罰するという場合、どのようにして単純所持を証明・把握するのかという問題があります。
 このことは、「憶測」や「疑惑」の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険があります。また、表現の自由や、家庭生活上の記念写真などと児童ポルノとの関係なども考慮しなければなりません。
2−1:
 あります。
2−2:
 そうしたアニメ・マンガ・ゲームについて、党としては批判的な視点と立場をもっていますが、そのことと、それらの所持や創作などを、法律で一律に規制することとは別のことです。単純所持を法的に規制することには慎重であるべきです。
2−3:
 すでに指摘したように、ポルノを題材とするような創作物については、社会的道義的な視点・立場から批判の対象にすべきであって、法律で一律に規制することについては、慎重であるべきだと考えます。
3−1:
 きたるべき総選挙にむけた選挙政策で、「安心して子育てできる社会にするために」という項目で、以下のような内容の政策をかかげています。
→安心して子育てできる社会にするために…男性も女性も仕事と子育てを両立できる働き方にしていきます。長時間労働の是正、正規雇用の拡大とともにパート、派遣社員への均等待遇の確立、子育て中の夜間・休日勤務、単身赴任の制限などをすすめます。
→妊娠、出産による解雇や不利益な取り扱いをなくし、育児休業を男女ともに取得しやすいように所得保障を6割に増額します。
→子育てへの負担を軽減するために、児童手当を当面小学校6年生まで月額1万円に倍増するとともに、支給対象の18歳までの引き上げをめざします。
→政府がすすめている公的保育の切り捨てをやめ、「保育所整備計画」をつくり保育所の拡充・整備をすすめます。学童保育を量質ともに整備します。子育てへの不安や児童虐待などの問題にこたえるための相談・支援体制を拡充します。
 なお、子育て支援の政策については、この項目にとどまらず、社会保障や教育などの分野にもまたがっていますので、詳しくは以下のサイトを参照していただければ幸いです。
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2008/20080925_senkyo-seisaku-mokuji.html
3−2:
 なんらかの盗撮防止策は必要だと考えます。防止のためにどのような内容、方法をとるべきかということは、関係機関や専門家などの意見をよく聞きながら、国民的な合意も得ながらまとめるべきだと思います。
3−3:
 D.児童ポルノについては、基本的に現行法で取り締まることが可能だと考えます。
3−4:
 B

児童ポルノ法改悪反対署名はこちら
子供の人権と表現の自由を考える会RSS
inserted by FC2 system