児童ポルノ法改定問題に対する統一見解

 我々、子供の人権と表現の自由を考える会は、今期国会中にも審議が予定されている「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下児童ポルノ法)改定による、単純所持の違法化および、マンガ・アニメ・ゲーム、その他創作物を児童ポルノに含めようとする動きに反対する。
 また、こうした動きを受けて(財)日本ユニセフ協会が2008年3月11日に発表した「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンの内容についても反対する。
 我々もまた、「子どもを守る」という意識は大事だと考える。
 しかし、この改定の動きは短絡的に特定の文化を破壊して安心を得ようとするものであり、むしろ「子どもを守る」という事から遠ざかっている。
 なにより、規制を推進する人々は「多くの諸外国で規制が行われている」という言葉を用いるが、明確な法律名や運用実態、データ、その法律の運用により生まれた弊害等を示すことができていないばかりではなく、その言葉自体が多くの矛盾や、間違えた表現を含んでいる事が明らかになっている。
 改定を推し進める者たちは確かに善意で行動しているだろうが、こうした「善意」が生み出す不寛容こそが悪である。
 この様な悪から、子どもたちと我が国の文化を守らなければならない。
よって我々は以下のような理由から児童ポルノ法改定に反対する。
1.当該キャンペーンは、国家による検閲を正当化せしめんとするものであり、「言論・表現の自由」を侵す違憲性がある。
2.児童ポルノ法で規定されているべき「児童ポルノ」の定義が曖昧かつ広範で、法治国家の基礎である罪刑法定主義に反し、警察の恣意的な判断による逮捕等、捜査権の濫用の恐れがある。
3.また、「児童ポルノ」の定義を曖昧にしたまま運用する事は、「内心を裁く」行為にも発展する恐れがあり、「思想・良心の自由」を著しく侵す違憲性がある。
4.自民・公明で論議されている改定案は、児童権利の保護を目指した現行法の目的から逸脱した社会風俗取締り法を作る行為であり、所持者や創作物創作者への規制は、現行法の不備や問題点を解決するものではない。
5.規制論は客観的事実に基づいて制定されるべき法体系から逸脱しており、また規制推進側に都合のよい恣意的なデータ引用と論理展開が論拠となっている。
6.類似法案を施行した諸外国では冤罪事件や、たとえ無罪になっても社会的評価を著しく低下させられる為、自殺者の事例が認められている。

児童ポルノ法改定問題に対する対案

そこで我々は、真の意味での『児童保護』を考える為に、以下の事柄を提案する。
・児童ポルノ禁止法の所轄官庁を、厚生労働省と明記する事。
・現行法における児童保護体制の可及的速やかな整備・拡充。
・「大人による指導」を通じて未成年者、保護者の判断・情報処理能力を育てるメディアリテラシー教育の推進。
・児童ポルノ禁止法の保護法益を、個人法益に特化する事。
・被害児童のケアセンターの設立。
・児童買春・売春等行為への、罰則の再強化。
・法曹界及び、検察による、児童の被害実態の調査、研究の実施。
・近親者による児童性虐待対策の整備、拡充。
・児童ポルノの定義を、「実在児童に対する虐待の成果物である」と明文化する事。
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